大和（やまと）作/管理釣り場用ルアーロッド　『Yamato50 GOD』

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大和（やまと）作/管理釣り場用ルアーロッド　『Yamato50 GOD』

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大和（やまと）作/管理釣り場用ルアーロッド　『Yamato50 GOD』

竹とカーボンの融合。職人の手が作り出す釣り味

■全長：5フィート9インチ～6フィート
■素材：ティップ/カーボンチューブラー、ソリッドのジョイント、バット/矢竹
■2ピース

カーボンと矢竹のハイブリッド・ルアーロッド。ヘラザオで培った技術が盛り込まれた逸品

グリップはFuji製のリールシートに竹を組み合わせ、漆の粉を固めたもので、快適な握り心地を実現

グリップの竹の部分には、竿春一門を示す「山サ大和」の銘が入る

矢竹セクションに配された節。これがバットパワーとサオのネジレ防止に役立ってくれる

ロッドに付属するクロスは、ヘラザオで使用されている銘の入ったオリジナルのもの

各ガイドはトルザイトガイドを使用（チタンフレーム）。さらにスレッド部分は漆塗りで補強し、研ぎ出しの変わり塗りを施している

バット部分にはモデル名である「Yamato50 GOD」のロゴが入る

和ザオの技術をルアーロッドへ

竹とカーボン。釣りザオの素材としては、重さや反発力の面で真逆の特性を持っているように思われがちだが、ヘラザオの分野では、2つの素材の長所を併せ持った「合成ザオ」として人気がある。

もちろん、竹にカーボンを継いで全体的に違和感のない1本のサオに仕上げるので、その製作には高い技術が要求されるが、そうした技をルアーロッドに応用して、新しい形のタックルを送り出したのが、「大和」（yamato-base.wixsite.com/yamato-j）の大沼順一さんだ。

同じ千葉県柏市の和ザオ師・竿春親方のもとで修業し、2011年に独立した大沼さん。ヘラザオ師として、自ら山陰地方で採ってきた竹を材料にヘラザオの注文に応じているが、趣味として楽しんでいる管理釣り場のルアーフィッシングに使えるタックルも自らの手で作りたい――という思いから、このたびルアーロッドの製作に取り掛かった。

そのきっかけになったのは、管理釣り場のルアーロッドが、ヘラザオに求められる調子と似ている部分があると感じたこと。それを大沼さんはカーボンのソリッドティップ、チューブラーのブランク、そしてバット部分に矢竹を使って表現した。

近年、急速にファンを集めている管理釣り場のトラウトルアー・フィッシング。スピニングリールやスプーンなど、メタリックなものが多いルアータックルのなかに、和ザオらしいブランクが混ざると、印象は一気に個性的なものになる。さらにヘラザオで培った技術を注いで作られたデザインには、職人の手仕事を存分に感じられるという楽しみも加わった。

ソリッドティップの食い込みと、竹のバレにくさ

製作で最も難しかった部分を訊ねると、カーボンのソリッド、チューブラー、そして竹をいかにルアーロッドとしてバランスよく組み合わせるかということだったという。

カーボンセクションを独立したシャフトではなく、あくまでも「竹の延長としてのカーボン」という役割を持たせられるよう、こちらも一から削り出してテーパー設計を行なっている。

大沼さんの作るハイブリッドロッドは、いわゆる「食い込み」重視のアクション。繊細なソリッドティップが、トラウトのショートバイトも弾きにくく、それに続く竹の部分がカーボンセクションにほどよく追従して、バレを少なくすることを目指している。

また、ブランクには軽量なトルザイトガイドを採用し、初めてこのサオを手に取った人にも違和感なく使ってもらえるような設計も心掛けている。

「オール竹でもルアーロッドはできますが、やはりハイブリットにすることで得られる性能があります。アタリが弾かれにくく、ルアーの操作性も損なわない。それでいて竹ザオの釣り味も楽しめて、遊び道具としての魅力も高めたいという思いがあります」

もちろん軽さだけを追求すればカーボンロッドには敵わないが、竹を取り込んでいるからといって、ルアーロッドとして重く感じることは全くない。まさにヘラザオ師だからこそ、具現化できるルアーロッド。ヘラブナと同じく競技性の強い管理釣り場のルアーフィッシングでシビアな魚を掛けるのもよし、ハンドメイドの味を楽しみながらのんびりとポンドを遊ぶのもよし。それぞれのスタイルでトラウトルアーを遊べる1本に仕上がっている。

柏市内の工房にて。和ザオ師として活躍する大沼順一さん。ルアーロッドの工程も、ヘラザオと変わらない

最も難しかったという、カーボンと竹をルアーロッドとして組み合わせること。ソリッドのティップ部分は、穂先よりやや手前の箇所が曲がるように調整し、ショートバイトも乗せやすくしている

素材の矢竹はおもに山陰地方から採取。屋外で4～5ヵ月乾燥した後、さらに屋内にて1年ほど寝かせてからサオとして加工する

いつものポンドへテストに向かう。この日はプロトタイプも含めて3本のロッドを持ち込んだ

工房内で出番を待つ和ザオ作りの道具たち。道具一つ一つも大沼さんの仕事に合うように調整が加えられている

大和ルアーロッドのテスターとしても釣行をともにする機会の多い、友人の多田正さん。管理釣り場のトラウトフィッシングやヘラブナの競技会にも参加しながら、ブラックバスやソルトルアーなど、旬の釣りを楽しんでいる

天然素材を取り入れたハンドメイドタックルなのだから、扱いに気を遣いそう……という声も聞こえてきそうだが、そこは通常のタックル同様で問題ない。味のある見た目を持つ一方、機能はどこまでも実戦的

アクションはミディアムライト。食い込みのよいソリッドカーボンのティップを、さらにカバーするように竹のセクションが魚の暴れを吸収する
※写真はプロトタイプ

この日使ったルアーは2～3gのスプーンやクランクベイト。ただ巻きでもフッキングさせやすいようなアクションになっている

今後は源流用のルアーロッドなども手掛けていきたいと話す大沼順一さん。伝統の技術を用いて、新しい分野のタックル製作にし続けている

「管理釣り場でタックルを広げていると、よく珍しがられます」。美しい竹の色が映えるこの日のタックルたち

今回訪れた釣り場はこちら！
●座間養魚場　www.zamayougyo.com
千葉県柏市大井1375
☎04-7192-1733
営業期間：9月下旬～6月下旬
営業時間：6～18時
定休日：第2・4・5金曜日
都内からも近い、ルアーフライ専用トラウトポンド。広々とした池にはニジマスが泳ぎ、トーナメントなども開催されている。貸し出しのタックルもあり、手ぶらで来ても釣りが楽しめる。さらに、敷地内には全天候型の室内釣り堀も設置。こちらはコイやフナのエサ釣りが楽しめる。